現在の研究テーマ

1,抗酸化能

 健康を維持するには,高コレステロールや喫煙,高血圧などの生活習慣病の危険因

子を避ける必要があるが,これらの危険因子の背景には活性酸素が深く関与している。

また活性酸素は癌や老化などの根本的な原因であると言われる. なかでも活性酸素

1種に上げられる酸化LDL(酸化低比重リポタンパク質)は脳血管障害の第一の起

因物質として注目されている.脳血管障害の予防としては,体内で酸化LDLを産生さ

せない生活や食習慣が重要と考えられる.抗酸化物質には緑黄色野菜やワイン,さら

に日本茶や紅茶などがあるが,これらの抗酸化能を私達が開発した新しい測定法

Osamu Sugita, Nobuhito Ishizawa, Takayuki Matsuto, Masahiko Okada, Norihiko

Kayahara: A new method of measuring the antioxidant activity of polyphenols

using cumene hydroperoxide. Ann Clin Biochem., 41, 72-77, 2004

で測定し、比較研究している。その測定法は前期CHP/Hb・MB(クメンヒドロペルオ

キシド/ヘモグロビン・メチレンブルー)法である.

 CHP/Hb・MB法は過酸化物のCHP(cumene hydroperoxide)を抗酸化物質の日本茶等が、どの程度還元できるかを定量的に測定する。抗酸化物の質量(g/100 ml)と抗酸化能(nmol/ml/)との関係は直線的ではなく、logの関係である。抗酸化物質濃度が低いと、抗酸化能反応は良く進むことを意味している。抗酸化物質濃度が2倍になっても、抗酸化能は2倍にはならず、計算による2倍値より、少し低下するのである。お茶類やカテキンなどの純化学物質は、例外なくこの法則に乗ったが、ワインは異なった。これらについて考えたことを今年度の名古屋での学会で発表予定にしている。

 

2,住環境

 新潟県立看護大学内に快適住まい環境研究会(住ま研)を平成8年(1996年)2月に設立し、看護師、保健師、建築設計士、理学療法士、作業療法士、福祉住環境コーデイネーター、行政職員、医師など、多種職業集団の地域の共同研究組織として、主に住環境に関連した活動を続けている。

 

1)ホルムアルデヒドの簡易測定に関する研究

シックハウス症候群,シックスクール症候群と呼ばれる一連の疾病群は,いずれも建物内装に使用される化学物質や,古い本に由来するカビや細菌などにより,頭痛や咳,鼻水,目の乾燥感などの症状を呈するものである.

 ホルムアルデヒドの測定基準法として,平成137月厚生労働省が「室内空気中化学物質測定マニュアル」でDNPH誘導体化固相吸着/溶媒抽出−HPLC法を提示し,さらに簡易測定器として6種の指定を行った.その6種のなかの1機種であるFP30型(理研計器株式会社)を取り上げその信頼性の程度を検討し,加えて建築後10年、2年経過したビルと三棟の新築住宅のホルムアルデヒドを測定した。建築後10年のビルは0.040-0.165 ppm, 建築後2年のビルは0.040-0.220 ppm, 新築住宅は濃度指針値の0.08 ppm 付近のホルムアルデヒドが測定された。

 

2)頚椎C4,C5損傷者の住宅建築

高齢者や身体に障害を負った人が,自宅で快適な生活ができるかどうかは住環境によって決まる事が多い.頚椎のC4,C5損傷は,かろうじて車椅子生活が可能な重症である.重い障害を負っても「こんな暮しをしたい」という目標を持ち,そのために必要な住宅の性能を導き出し,それを実現するというあたりまえの理論の実践と,アメリカ障害者法の「機会の平等,完全参加,自立生活,経済的自足保証」の実現に私達は挑戦しようと考えている

相談を受けた受傷者は22才の若者である.どのような環境であれば,これからの長い人生を有意義に過ごし,社会参加ができるか.その方法・作法が構築され得たならば,これは高齢者や障害を負った人々を含め,すべての人々にとっても快適な住宅環境を獲得する一般的な手法になり得るはずである.20058月にその住宅は完成した.その後も関係者が当該住宅に集まり、冬季と夏季の住み心地、介護状況等を継続サポートしている。

他に学校行事で大怪我を負った中学生のいるお宅の改修工事を、平成18年(2006年)1月から開始し、エレベーターの設置等を行った。これらの作業経過や報告は隔月に発行している「住ま研ニュース」に詳しく掲載している。

 

 3)化学物質過敏症(CS)支援

ヒトが多種の化学物質に反応する場合を化学物質過敏症(CS)と言われるようになった。現代の住環境から生まれたCSには強い危機感を感じている. 平成17年(2005年)に上越市内の小学生10,348名のCSに関連する症状調査を共同研究者と共に行った。その結果はCS様の症状を持つ児童は調査した全児童の9.5 % に見られた。またアレルギー症状は47.6% の児童が持っていた。さらにCS様の症状を持つ児童がアレルギー症状を持っている割合は63.7%であり、CSとアレルギーの強い関連性を伺わせた。

現在の研究は、CSを発症した児童が入れない学校内空気環境とは、揮発性有機化学物質として、何がどの程度存在する環境なのかを調査している。

 

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